2024年3月21日 / 最終更新日時 : 2024年3月21日 代表オヤジ コラム ほんの記憶17:水中の哲学者たち(永井玲衣、晶文社) わたしの娘といってもいい年ごろにみえる著者であるが、精神的にわたしと通じ合うものがあるなあ、などと考えながら読み進めた。一緒に酒を飲んだらうまいだろう。 新聞記者をやっていたころ、わたしはよく酒を飲んだが、ある先輩と […]
2024年2月13日 / 最終更新日時 : 2024年3月9日 代表オヤジ コラム ほんの記憶16:海も暮れきる(吉村昭、講談社文庫) 俳人・尾崎放哉の死の記録である。放哉の名は初めて知った。東京帝国大(現東京大)卒、大手の保険会社に入社したものの酒が原因で退社。妻とも別れ、漂泊の旅に出た。といえば、よくある破滅型の人間の、どこか格好良さも匂う人生の道 […]
2024年2月5日 / 最終更新日時 : 2024年2月17日 代表オヤジ コラム ほんの記憶15:充たされざる者②(カズオ・イシグロ、ハヤカワ文庫) 主人公の名は「ライダー」。属性の説明は皆無。見た目や性格についての記述もない。わたしは勝手に50代の中年男性と決めつけていたが、途中で何も根拠はないことに気づいた。高名なピアニストだということはわかる。しかし、どこの生 […]
2024年1月20日 / 最終更新日時 : 2024年2月5日 代表オヤジ コラム ほんの記憶14:充たされざる者①(カズオ・イシグロ、ハヤカワ文庫) ほかのカズオ・イシグロ作品でもそうなのだが、この人が書いた小説は一気読みしたことがない。たいていは夜、寝る前に、十数ページずつじっくり読み進める。読まない日もある。だから、一冊を読み終えるのに数か月かかることも珍しくな […]
2023年12月28日 / 最終更新日時 : 2023年12月28日 代表オヤジ コラム ほんの記憶13:ジュリーがいた(島﨑今日子、文藝春秋) ジュリーこと沢田研二に、若いころはさして興味があったわけではなかった。男性アイドル歌手としてしか認識していなかった。しかし、年月を経て、あの報道。沢田がコンサート会場で、来場してくれた女性に向かって「黙っとれ」と怒鳴っ […]
2023年11月12日 / 最終更新日時 : 2023年11月12日 代表オヤジ コラム ほんの記憶12:俵屋の不思議②(村松友視、世界文化社) ようやく本論である。この本は写真付きで、俵屋という名旅館を創り出し、日々支える人々が登場する。職人気質がにじみ出るような顔、顔、顔が入れ代わり立ち代わりあらわれ、村松氏の細部にこだわる文章で描かれる。真実はディテールに […]
2023年10月6日 / 最終更新日時 : 2023年10月6日 代表オヤジ コラム ほんの記憶11:俵屋の不思議①(村松友視、世界文化社) 若いころ、といえば20代だが、いい宿の条件は「安さ」であった。ドライブがてらの旅行が好きで、九州の温泉地等をよく巡った。一度、北九州から箱根まで車で行ったこともあるが、これはさすがに疲れた。宿は雑誌などで安いところを探 […]
2023年9月2日 / 最終更新日時 : 2023年9月2日 代表オヤジ コラム ほんの記憶10:屋根屋(村田喜代子、中公文庫) 楽しい読書だった。村田喜代子の小説を読んだのはこの「屋根屋」が最初である。読了後、飛族、エリザベスの友達、焼野まで等々この作家の作品を矢継ぎ早に読むことになった。そしてどれも面白かった。わたしは面白くない本は途中で、そ […]
2023年8月22日 / 最終更新日時 : 2023年8月22日 代表オヤジ コラム ほんの記憶9:へたも絵のうち(熊谷守一、平凡社) 熊谷守一という人のことは最近知った。何かの本で読んで興味がわき、最初に読んだのがこれだったと思う。その何かの本には彼の言葉として、こう書いてあった。「ここに住むようになったのは、昭和七年で私が五十二歳のときです。それか […]
2023年8月10日 / 最終更新日時 : 2023年8月11日 代表オヤジ コラム ほんの記憶8:朽ちるマンション 老いる住民(朝日新聞取材班) マンション管理適正化法が改正され、同法に基づく管理計画認定制度が昨年度から施行された。私有財産であるところのマンションの管理を行政が評価するという画期的な法律なのだが、マスコミの動きがにぶい。マンション管理の問題は地味 […]